園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

2020年8月

【排除しない】
新型コロナウイルスの感染拡大状況が日々変化しています。感染状況が落ち着いてきた、○○地域は感染者数が少ない、そんな考えが一瞬にして覆されるのを何度も体験させられ、そのたびにコロナウイルスはまだまだわからないことだらけであることを思い知らされています。そんな状況の中、私たちがしなければいけないことは無数にあるのですが、あえてここでお願いしておきたいことは、疑いのある人を含めて感染者を排除しないということです。誰でも感染する可能性があることを踏まえ、感染例からは今後の対策を学ばせてもらうことに集中し、例え本人に届かないとしても排除と感じられる言葉になっていないか、十分に注意を払うようにしましょう。

【何を言って、何を言わないか】
脳科学者の茂木健一郎氏は、「何を言って、何を言わないか」がその人を表すと話しておられます。コミュニケーションにおいて大切な要素の一つは相手の気持ちを思いやることで、自分の言葉が相手にどのように響いているのか、相手からは自分がどんな風に見えているのか、つまり相手を自分の「鏡」として、そのことを常に意識して言葉を発することが大切だと言われます。自分が思いついたことを、まるで実況中継をするように口にしてしまったり、相手がどう受け止めるか気にせずに、とにかく声に出してしまうのは気をつけるべきですし、自分の意見を相手がどのように感じているか、どんな意見を持っているかを気にせずに、とにかく自分の方が正しい、相手の言うことなど聞く必要がない、という態度をとってしまうことも気をつける必要があります。私自身も反省をしつつ、「何を言って、何を言わないか」が自分を表すことをみなさんにも考えてみてもらいたいです。

【同期】
あさりこども園には「なかよしテーブル」というテーブルがあって、子どもたちの間でトラブルが起きたときは、そこで互いの思いをちゃんと伝え合い、子どもたちだけで仲直りするよう推奨しています。先日、3歳の女の子2人がそのテーブルで話し合う場面を見ました。少し離れたところで見ていたのでやりとりの詳細までは分かりませんでしたが、自分の思いを伝え合っているのはわかりました。互いに厳しい表情での話が続いていたとき、突然1人が「ごめんね」と言い、相手も思わず「ごめんね」と言い、その言い合いっこを繰り返しているうちに2人の「ごめんね」の声が揃いはじめ、揃っていることに笑い出していました。互いの言い分を理解し納得したかどうかはわかりませんが、2人の言葉が同期している状態は気持ちも同期しているようにも思え、見ていて心地よかったです。言葉を理解し合うことは大切だけど、思いが通じ合っていることの方がより大切で、言葉を通じて互いの思いを同期させることは大人も考えなければいけないことです。3歳の女の子たちがその後楽しそうに遊んでいたように、私たちも言葉を丁寧に使って互いを尊重しあい、思いを同期させることを大切にしたいですね。