園長のひとりごと

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【小さなヒント007】子供の言葉の発達のために、親が出来ることは?

(2015/07/09に書いたもの)

今回の質問は「子どもの言葉の発達のために、親が出来ることは?」です。まずは言葉の発達とは何か?を考えたいのですが、これを一言で語ることは難しいです。というのも「覚えている単語の数が増える」ことだけが言葉の発達ではないからです。もちろん覚えている単語の数も大事なことですが、言葉はコミュニケーションの手段です。まず相手に伝えたい思いがあり、それを伝えるために身ぶりや手ぶり、そして言葉を使うようになります。ということは、相手に伝えたいという欲求を高めてあげることは、その後の言葉の獲得の大きな力となっていきます。

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例えば赤ちゃんは泣くことによって「お腹がすいた」「うんちが出た」「眠たい」といった思いを伝えようとします。では、泣くのがかわいそうだからと何でも先回りし、泣きだす前にミルクをあげたりオムツを替えてあげたりしているとどうなるでしょうか?赤ちゃんは自分で伝えようとしなくても自分の欲求をわかってもらえるので、自分から積極的に伝えようとすることをしなくなってしまいます。そしてこれはコミュニケーションのことだけではなく、自発的に周りに働きかけようとする意欲にも影響してきます。まだ言葉を話さない時期の関わりですが、泣くことも言葉や自発性の育ちに関わってくることなので丁寧に考えていきたいことですね。

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最近の研究では、子どもはかなり早い段階から言葉を理解し獲得していく力を持っていることが分かっています。例えばこんな研究結果もあります。

www.nikkei.com

「赤ちゃんの脳は驚異的な学習能力」を持っているのですが、ここにも書かれているように「脳という『器』だけでは不十分で、情報のインプットが必要だということです」という点は大事なところです。この情報のインプットこそ、大人とのコミュニケーションです。子どもの一方的な語りかけではなく、大人からの一方的な語りかけでもない、子どもと大人の双方向のコミュニケーションが必要だということです。子どもだからと適当に話を聞いていると、それは間違いなく子どもに伝わります。「あなたの話に関心を持っているよ」と伝わるように聞いてあげることや、子どもの言葉をきちんと拾ってそれに返してあげることの積み重ねによって、子どもは自分の発している言葉に意味があることを理解していきますし、何よりコミュニケーションの楽しさを感じていきます。そして大人の会話をたくさん聞かせてあげることも大事です。思わず会話に加わりたくなるような、そんな楽しそうな会話を子どもにたくさん聞かせてあげることができれば、言葉によるコミュニケーションの楽しさをより強く感じることでしょう。子どもの言葉の発達のために親が出来ることはたくさんありますね。