園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

2021年3月

【ファンベース】
コミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之さんが書かれた書籍「ファンベース」を読みました。ファンとは、企業やブランド、商品が大切にしている「価値」を支持している人。ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や価値を上げていく考え方。ファンは常に少数だけど、その少数のファンにどの企業も支えられている事実を再確認すべきだ、そんなことが書かれていました。
みなさんは「花の村のファンは?」「自分達の事業所のファンは?」と聞かれて、頭に浮かぶ人物がどのくらいいますか?「ひとりを大切にする」という花の村の根っこを理解してくれている人、理解してくれたうえでもっと良くなるようにと真剣に考え指摘や提案をしてくれる人、そんな人がどのくらい頭に浮かんでくるでしょうか?
地域に根ざし、地域に貢献していくことを目指す花の村としては、地域に花の村のファンを作っていくことが欠かせません。「ファンは?」と聞かれて頭に浮かぶ人を増やしていくことが必要です。

【信頼を強くする】
そのためにすべきことはファンの支持をさらに強いものにすることで、それが新たなファンを増やすことにつながると書かれています。具体的なアプローチとして①価値への共感を強くする ②価値への愛着を強くする ③価値の提供元の信頼を強くする の3つが挙げられていて、その中の③に注目してみると、信頼アップのために取り組むべきこととして花の村でもすぐに取りかかれることが2つ書かれていました。

〇まずは「信頼されていない要素」をひとつずつ消していく
〇次に「間違いない」「ちゃんとしている」「変なことをしていない」部分をきちんと見せる

すごく当たり前のことだったので驚いたのですが、ではこれができているかどうか考えると、決して十分ではないと思う人が多いのではないでしょうか。信頼されていない要素がないかを確認していくのは簡単ではありません。目を背けたい、できれば隠していたい部分にあえて目を向ける作業なので、大変さが容易に想像できます。ですが、まずはそこからやっていきましょう。そして次のちゃんとやっていることをきちんと見せること、これもまだまだできていません。謙虚になりすぎるのではなく、できていることはできているとしっかり発信していきましょう。HP、SNS、ハナハナ新聞などなど、発信する媒体はたくさんあります。それらをうまく活用して信頼される事業所になるための基礎を作り、花の村が大切にしている価値を理解してくれるファンを増やすことにつなげていきましょう。

【自立】
東日本大震災後すぐに石巻に入り、プロジェクト結という団体を作って子どもたちのサポートを行ってきた方々と縁があり、今でもつき合いが続いています。この方々の活動や考えから多くのことを学ばせてもらっています。今から5年前の2016年、この団体の理事長が「年頭の言葉」にこんなことを書いていました。

2016年、震災から5年が経つ今年のキーワードは、「自立」です。

どうなることが自立なのか、その内容や程度は人によっても状況によっても違いますが、どんな支援であっても対象の自立を目指すことが目的であるはずです。そしてどんな助けを求めれば満足できる環境を作れるか、求められたことにどう応えていけば満足できる環境作りが進んでいくか、そこに関わる人全てが体験を通して見つけていくのが支援ではないかと考えています。震災から5年後に「自立」を目指すことを再確認し、そこから5年経った今、この団体がおこなってきた支援の結果がどうなったかは確認できないので想像するしかありません。ですが私の想像では、10年間の支援が多くの自立につながっているだろうと思っています。

【お手伝い】
私たちの事業理念は「人生を全うするお手伝い」「人生の基礎づくりのお手伝い」「人生の一歩を踏み出すお手伝い」です。これらは全て、利用者一人ひとり、子ども一人ひとりの自立を目的とした支援です。それぞれの人生に対する思いを大切にし、その人生がその人にとってより良いものとなるよう支援する。みなさんも事業理念の意味をそのように理解してくれていると思っています。支援が必要なときには遠慮なく声を掛けてもらえるよう信頼をより強いものにし、私たちの様々な事業のネットワークを活用していつでも支援ができるようにする。その関係を作っていくことで利用者一人ひとり、子ども一人ひとりの自立が進み、私たちも個々の自立に対する理解を深めていく。そんなサイクルを作っていきましょう。