園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

4/21『出西窯』

21冊チャレンジの4冊目は『出西窯』(多々納弘光)。多々納弘光さんの語りおろし。ものすごく謙虚な言葉が並んでいてどこを読んでも心地いいのが印象的な本。何度も訪れている出西窯の話だったが、こんな人たちがこんな思いで作りあげていった窯だったのかと驚かされた。もっと早く読んでおけばよかったと思わされる素晴らしい内容だった。

 

サブタイトルにある「民藝の師父たちに導かれて六十五年」。柳宗悦河井寛次郎、山本空外、村岡景夫、鈴木茂男、柳宗理、尾野俊郎、吉田璋也、濱田庄司バーナード・リーチ、外村吉之介、片野元彦、金津滋、舟木道忠、相馬貞三など、多くの師に積極的に教えを請う姿は衝撃だった。若く、何も経験がなく、師もいないメンバーにとっては当たり前の行動だったかもしれないが、この貪欲さ、ためらいの無さが出西窯を作り上げていったんだと思う。焼きものに限らず物の美しさなんて全くわからないけど、こんな思いで突き進んできた人たちの作る物はいいものであるはず。そんな適当な評価しかできないのは悔しいが。でも評価なんてする必要はなく、使っていて生活に馴染むかどうか、その器が馴染むような生活をしたいと思えるようになるかどうか、そんなことだけを考えていればいいんだとも教えてもらった気もする。

共同体の考え方については、この本の主題はそこにあると思うけど、まだ自分の中でしっくりとくる理解はできていない。分かる気もするけど、そこで簡単に分かった気になってはいけないような、そんな大切な思想なんじゃないかと思う。でもそう遠くないところで共同体とか無自性とか、あの本に書かれていたのはこういうことかもしれないと、とっかかりくらいは見つけられるときが来るんじゃないかと思っている。改めて出西窯を訪ねたくなったし、新しい器を購入したくなった。「出西くらしのvillage」が今後どう展開されていくかも楽しみ。 

www.shussai-village.jp