園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

6/21『にほんでいきる』

21冊チャレンジの6冊目は『にほんでいきる』(毎日新聞取材班)。2019年度に島根県保育協議会の仕事で、出雲市の保育園が外国にルーツをもつ子どもをどのように受け入れているか取材をさせてもらった。そこから外国ルーツの子どもが置かれている現状や課題に興味を持つようになり、ポッドキャストで紹介されていたことでこの本に出会った。出雲市での取材で聞いた話と同じようなケースもあり、どこかよその土地の出来事とは思わずに読めた。

第1章 閉ざされた扉 就学不明2.2万人
第2章 学校にはきたけれど 無支援状態1.1万人
第3章 「発達障害」と見なされて 特別支援学級の在籍率2倍
第4章 ドロップアウトの先に 不就学・不就労3000人
第5章 見つかった居場所 日本語教育に救われて
第6章 にほんでいきるために

各章のタイトルを読むだけで気が重くなったが、読んでみると想像以上に深刻な現状が紹介されている。言葉が分からないこと、言葉を学ぶための支援が受けられないことがどれだけの困難を生み出してしまうかについて、十分想像できていなかったと思い知らされた。制度の課題、学校の課題、地域の課題など数多くの課題があって対策もまだ十分ではないけど、まずは外国ルーツの子どもたちが置かれている現状を私たちが知ることからだと思う。

それにしてもこの取材をした毎日新聞の記者のみなさんはすごい。行政が摑み切れていない就学不明の現状を調査し、時間をかけて取材し記事にするのは大変な苦労があったと思う。一人ひとりの困難な状況については、調査の数値ではなかなか見えてこない。それがこの取材のおかげで外国ルーツの子どもの現状を知ることができたわけで、これこそがプロの仕事だと感激した。新聞記者はすごい。