園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

34/40『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』

40冊チャレンジの34冊目は『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』(工藤勇一、鴻上尚史)。『学校の「当たり前」をやめた。』を読み返してみたが、やっぱり工藤さんの考え方はおもしろい。さらにこの人の考えに触れてみたいと思い、この本を選択。

 

工藤さんの学校教育に対する考えと鴻上さんの劇団に対する考えの共通点が多くあり、それが絡み合っていく展開がおもしろい。対談だからこその広がりや引っかかりがあり、それが読んでいる方にとっても考えるきっかけになったりする。

一番の学びは「当事者意識」の大切さ。

 

なぜ私が学校改革ができたかというと、職員に「自律できる子どもたちを育てるんだよね。だからまず私たちが自律できないとだめだよね」と言い続けたからなんです。それだけですよ。私たちが自律できなければ、子どもにそれを教えるなんて無理です。だからみんな価値観が違っていいし、とにかく対話をして合意しようよと。それだけ言ってきたんです。校長の仕事は全員を当事者に変えていくことなのですから。

 

いま、世界中の教育関係者の間では「エージェンシー」が大事だってことが言われています。文科省は「主体的に問題を解決する姿勢」と訳しているのですが、ちょっとわかりにくいですよね。・・・・・・つまり、エージェンシーは当事者意識を指すような言葉なんですね。なんでも他人事にしてはいけない、自分自身もまた社会を構成しているひとりなのだという考え方を育てるべきだという考え方です。

 

例えばこども園の活動を考えるとき、主体性、主体的な活動をと言われるよりも当事者意識を育てる活動をと言われた方が、具体的に考えやすいと思う。自分事としてその活動を捉えられるような導入から考えることになるし、そうなると計画段階から子どもが参画できるようにすることも必要だし。そう言っている私たち大人が社会のあらゆることに対して当事者目線で考えているかどうかを点検する必要が出てくるし。

その他にも「多様性はしんどい」「もめて当たり前」など、大切な考え方がたくさん出てくる。軽い気持ちで読み始めてここまで学びが詰まった本は久しぶりかも。