園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

34/50『他者の靴を履く』

50冊チャレンジの34冊目は『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』(ブレイディみかこ)。昨年末に知り合いの保育園長に勧められた本。以前読んだ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がとてもおもしろかったこともあり、少し時間は経ったけど読んでみました。

実際に体験したことについて書かれている箇所は読みやすく、引用を多く用いている箇所は少しくどく感じます。でもタイトルの「他者の靴を履く」「To put yourself in someone's shoes」は文字通り大事な考えで、学んで整理しておいた方がいいと思います。

 

エンパシーは能力で、身につけるもの
シンパシーは感情で、内側から湧いてくるもの

大切だとされるエンパシーは自然に身につくものではないと知ることがまずは大事。

 

他者の靴を履くどころか、他者に自分の靴を履かせるものにもなりかねない

そうなってはいけないんだけど、

他者の靴を履いて、自分の靴を見失ってしまったら元も子もない

こうなる恐れがあることを知っておく必要もある。

 

おもしろいプログラムも紹介されています。

このプログラムでは、教室の真ん中に緑色のブランケットを敷き、その上に赤ん坊を乗せ、子どもたちはブランケットの周囲に座る。そしてインストラクターは、赤ん坊に玩具を与えて遊ばせたりしながら、子どもたちに質問する。「赤ん坊はイライラしています。玩具に手が届かないからです。あなたはどんなときにイライラしたり、怒ったりしますか?」という風に。すると子どもたちは自分が怒りを感じたときのことを思い出し、言葉を喋れない赤ん坊が経験しているだろう感情を想像するのだが、学校生活の中で、このようなことを考え、級友どうしで話し合う時間が他に与えられているだろうか?

こうやって環境を作り、時間をかけて「他者の靴を履く」能力を身につけていくことが大事だということに、社会の目が向いていくことが必要なんでしょう。