園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

35/50『プリズン・サークル』

50冊チャレンジの35冊目は『プリズン・サークル』(坂上香)。『他者の靴を履く』の中で映画『プリズン・サークル』のことが紹介されていて、それが島根県浜田市旭町の刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」を取り上げたものと知り、興味を持ちました。映画を見るのは難しそうだったので、坂上監督が書かれた本の方を選択。

浜田市に刑務所があることはもちろん知っていて、敷地内に認定こども園があり、そこの園長と最近電話で話をしたところだったのでそうった周辺情報は持っていたけど、刑務所自体のことはほとんど知りませんでした。

映画のテーマでもあるTC(Therapeutic Community=回復共同体)が日本で唯一導入されていることとか、そのTCが受刑者のどんな変化を生み出しているかとか、とっても興味深い話ばかりでした。

受刑者の多くがとてもしんどい環境で育っていること、そのことによって一般的な罪の認識と明らかに違う認識でいること、だからといって犯した罪が許されるわけではないこと、そんなことから来る苦しみをTCの中で語られていく様子が本に書かれていて、それが描かれている映画をますます見たくなりました。

この本の存在を知り、読むことで日本にもTCという素晴らしい取り組みがあることを知れたわけですが、だからといって旭町の刑務所に課題がないわけではなく、日本の他の刑務所と同様に受刑者に対する人権問題が存在していることも書かれていて、読んでいて非常に複雑な思いになります。

とにかく島根県に住んでいる者として、「島根あさひ社会復帰促進センター」で何が行われていて、どんな人がどんな思いで生活しているかを知ることもできたのはとてもよかったです。日本で唯一導入されているTCの意味を、島根県の人は特に知っておいた方がいいかもしれません。