園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

28/50『ユニクロ潜入一年』

50冊チャレンジの28冊目は『ユニクロ潜入一年』(横田増生)。こういう潜入モノは割と好きな方で、今回も楽しく読めました。自分自身の時間を潜入という活動にあててこのような文章を書かれたことは本当に素晴らしいと思います。

ただですね、内容については全面的に同意することはできないなというのが読んだ正直な感想です。書かれていることは事実だろうし、ユニクロという企業の課題がきちんと書かれていると思っています。でもその事実を第三者やアルバイトの立場からと経営側からとでは当然見えているものが違います。問題は問題としてきちんと向き合う必要はあるけど、見えているものの違いを踏まえることがもう少し必要かと。読んでよかったと思う気持ちと、まとめ方がちょっと一方的だなと思う気持ち、その両方を感想として持ちました。

印象的だったのはカンボジアの工場で働く人の話。住まいは掘立小屋だけどパソコンを使って世界中の情報を集めている話が出てきます。若い労働者はスマホやパソコンを使い、自分達の生活水準や労働環境ご他国と比べてはるかに低いことを知っていて、だからこそ権利意識を抱いていると書いてありました。以前は生活水準が低いとそれに比例して情報収集の手段が普及しておらず、現状を把握することが難しかったはずです。その状況が大きく変わり、誰でも情報を入手しやすく、自身の置かれている状況を世界と比較して見ることが可能になっています。これはとても望ましい変化だと思うし、ここから社会のあり方が変わる動きがたくさん生まれているんだと思います。印刷技術の発達が世界を大きく変えたけど、インターネットの普及が起こしている変化はとてつもなく大きいことを感じています。