園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

2023年10月

【インプットとアウトプット】
10月3日に行われた島根県老人福祉施設協議会研修大会(長いですね)において、デイサービスセンター合歓の郷のOさんとAさんが事例発表を行いました。発表してくれた内容は、一人ひとりが活き活きとした時間を過ごしてもらうために合歓の郷で取り組んでいる事例です。発表後にOさんのところへ来られた方もいて、朝のあいさつや午後のトランプなど他部署の人が関わることをどのように進めてきたのか、といった内容の質問をされたそうです。自分たちからすると当たり前のことでも、外から見ると変わった取り組みに見えることはよくあります。これは外部に発信したから分かることで、聞いた方は自施設で真似をするかもしれないし、Oさんたちはどのように受け止められるのかを知ったことで取り組んでいることの意味の再確認ができたはずです。これはアウトプットの成果と言えるでしょう。

以前朝礼でインプットとアウトプットの話をしました。学びはインプットとアウトプットのバランスが大切で、中でもアウトプットの機会は意識しないと生まれないし、学びの質はアウトプットを行ったときの方が高いので、その機会は大切にしてほしいという内容です。意識をしなければ学びはインプットに偏ってしまいます。インプットしたことをアウトプットする→アウトプットしたことで次のインプットが進んでいく。この循環を生み出すためにも意識してアウトプットの機会を活用し、学びを深めてほしいと思います。

【活動の目的】
丘中庭活用プロジェクトのみなさんが、ポリテクカレッジの生徒さんにも協力してもらいながら合歓の丘の中庭活用案を考えてくれています。その一環でポリテクカレッジの生徒が活用案を考えてくれたので、それを見せてもらいました。その案はとても楽しくワクワクする内容でしたし、書かれていたコンセプトはいろいろと考えさせられる内容でした。介護の仕事にあまり詳しくない学生が、この地で暮らす高齢者にとってどんな地域であることが望ましいかを考えてくれ、それを提案内容の目的として文章化してくれています。これがあることで提案内容がブレないように確認することができたはずです。この目的は、花の村でいえば事業がブレないように立ち返って確認する理念にあたります。今回の提案を見て、理念や目的を定めて定期的に確認することの大切さを再確認することができました。

学生の活用案の目的
①高齢者の方々が懐かしい風景のそばで日常を感じながら楽しく暮らす
②高齢者の方々が外出して、歩いて、話して、心身ともに健康的に暮らす
③利用者の家族、施設で働く方も心地よく、「福祉」が日常の一部になる

【関わりの変化】
環境整備委員会をはじめとする多くの人が9号線の看板下の花壇を充実させるために動いてくれています。それだけでもありがたいのですが、職員の家族も活動に加わってくれました。江津東放課後児童クラブのIさんのお母さんです。花を育てるのがお好きだと聞いています。以前から江津東放課後児童クラブの花壇のお世話を手伝ってくれていたんですが、今回はさらに活動場所を広げてくれることになったそうです。いろんな人に花の村の活動に関心を持ってもらいたい、そして力を貸してもらいたいと考えているので、このようなことは本当にありがたいです。花壇がどのように変化していくかも楽しみですし、関わりがどのように広がっていくかも楽しみです。

【オレンジカフェがスタート】
サービス付き高齢者向け住宅もりハウスを活用した新事業「オレンジカフェ・もりハウス」が10月18日(水)にスタートします。オレンジカフェとは「認知症の人や家族、専門家、支援者らが集い、気軽に介護の悩みを相談したり情報交換を行ったりすることのできる場」のこと。ケアマネージャーのMさんが中心となって進めてくれていて、12月20日(水)、2月21日(水)の開催も予定されています。10月から認知症カフェの取り組みの連載が山陰中央新報でスタートするなど、今の社会で必要とされている取り組みであることは間違いありません。もりハウスでの取り組みはこれからで、やりながら形を探っていくことになるでしょうが、まずは新しい取り組みがスタートすることをみなさんには知っておいてもらいたいので紹介しておきます。

「オレンジカフェ・もりハウス」の案内はこちら

【人口減少と地域の変化】
島根県の人口が65万人を下回ったとの報道がありました。70万人を切ったのが2014年で、そこから9年でここまで減りました。もちろん江津市の人口も減っています。私たちの周りで起きている人口減少のスピードは、止まったり緩やかになったりすることなく確実に進んでいます。それに伴い、地域の福祉ニーズは刻一刻と変わっています。その変化にどう対応していくかが私たちに求められていることです。誰も体験したことのない、しかも答えがない福祉事業に挑戦しているのが今です。大変なことではありますが、そんな状況でもできる限り楽しみを見つけながら進んでいきたいと思っています。

季節の変化が急すぎたためか、少し体調を崩す人も出てきているようです。ここ数年の感染対策のために免疫が落ちている可能性も考え、例年以上に体調の変化には気を配るようにしてください。そして気候の良い秋の活動を楽しんでください。

 

トリプルセブン

新作が出たので急いで読みました。

『777 トリプルセブン』伊坂幸太郎

 

あるホテルの中で起こる事件が、登場人物の視点を切り替えながら描かれています。いつものヤツです。相変わらずの展開力で、1つのホテルが舞台とは思えない壮大さを感じつつ、登場人物の個性が絶妙に絡み合って話が進んでくため、途中で読むのを中断するのが難しい本です。実際これを読み始めたら気づくと0時を過ぎていて、次の日は大事な仕事があるから早く寝なければと思ったんですが、我慢できずに読み続けてしまいました。それだけおもしろいということなんですが。

一気にストーリーに入り込んでハラハラドキドキしたいという人は、すぐにでも読んでください。

大事なことは1分で話せ

最近人気の本が簡潔にまとめられて、しかもマンガでの解説もついて読みやすくした本になっているのを見かけます。以前は原書を読んでいたんですが、最近は要点を掴めるのであれば少しでも分かりやすい方が…とマンガ付きの方を選ぶことが増えました。ほんとはちゃんと読んだ方がいいんでしょうけどね。ということで、読んだのはこの本。

『マンガですぐ読める 1分で話せ』伊藤羊一著

 

これは『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』をマンガ付きにしたもの。60万部も売れているらしいです。すごい。

 

内容はとてもシンプルです。

「人はあなたの話の80%は聞いていない」
「1分で話せないものはどれだけ時間をかけても伝わらない」
「相手はどんなことに関心を持ってくれるのか考える」
「相手にどうしてもらいたいのかがゴール」
「結論と3つの根拠をセットにして話を組み立てる」
「なくても通じる言葉はカットする」
「スライドも言葉を詰め込みすぎない」
「結論+3つの根拠に『たとえば』を加えるとイメージしやすくなる」

このようなことが書かれているんですが、まず大事なのはなぜこんなことを考える必要があるのかということ。その一番の理由は『人はそもそも他人の話に興味を持っていない』という事実。ここからスタートしなければ間違えてしまうことを教えてくれています。だからこそ伝える工夫が必要なんです。

中でも参考になったのが次の3つ。
「結論+3つの根拠+『たとえば』の構成にする」
「なくても通じる言葉はカットして超シンプルにする」
「聞いてもらうことではなく、動いてもらうことがゴール」

プレゼンのような特殊な場での話ではなく、日常や仕事の中でこれができるようになると自分も相手もずいぶん楽になるんじゃないかと。1分ルールが駆使できるように今年の残り3ヶ月は意識することにします。

 

2023年9月

【50周年】
ミレ青山など多数の事業所を運営しているいわみ福祉会さんから、創設50周年記念式典の招待状が届きました。半世紀にもわたって障がい児者・高齢者を対象とした福祉事業を行ってこられたことは本当に素晴らしいことだと思います。日本の企業の平均寿命は23.3年なので、その倍以上も事業を続けてこられたことになります。浜田で事業を開始し、その後江津にも事業を広げるなど、地域のニーズに合わせて事業を変化させ続けられていることが長く続いている大きな要因ではないかと想像しています。

私たち花の村は1999年の法人設立から24年が経過しました。なんとか平均寿命は超えましたが、ここからあと26年事業を継続していける保障は全くありません。続けていけるとしたら、社会の変化に合わせて私たちが変化し続けられた場合だけでしょう。これは社会福祉法人に限らず、どの会社にも当てはまることです。

【会社は変化します】
トヨタは元々“はた織り機”を作る会社だったのが、自動車の普及に合わせて持っていた技術を活かして今の自動車メーカーへと変わりました。電機メーカーであったソニーは、音楽や映画、金融などの多種多様な事業を行う会社に変わりました。社会の変化に合わせて事業を変化させて成功している会社の例はこの他にもたくさんあって、実は形を変えずに同じことをずっと続けている会社は少ないのが実情です。

花の村も地域の中で福祉の仕事を提供し続けていくために必要なことがあれば、それに合わせて事業を変化させてきました。それは今後も変わりません。そして事業の変化のような大きな話でなくても、例えば事業所ごとに行っている行事の内容や日々の業務の進め方についても、常に見直しを行って変化させていける事業所でなければいけません。江津市の福祉の拠点として事業を継続するために、変化できる体質は維持しましょう。

【2050年の介護の課題】
2040年には69万人、2050年には122万人も介護人材が不足するという試算があります。15年後、25年後には介護を受けたい人の多くが介護を受けられないということです。日本の人口が急速に減っていて、経済面でも他国に比べて成長していないため外国の人たちが日本に働きに来ることが期待できないとなると、これはおそらく避けることのできない未来ということになります。

そのような事態に対応するために国は「介護のデジタル化」を進めているんですが、私たちもその流れに乗っかっていく必要があります。今の業務の課題解決のためにどう取り入れていくか、今後の介護を取り巻く環境の変化を見据えてどう取り入れていくか、2つの視点で考えていかないといけません。7月8月の給与コメントで「デジタル化」「ICTの導入」について書いてきましたが、花の村の大きな課題であるため今月も書いています。

現在グループホームやかたで介護支援システムを試験的に利用しています。導入が決まっているわけでないですが、何ができて、それによって何が分かるのかを確認してもらっているところです。まずは今使っているソフトやサービスをフル活用する、それらではカバーできない分野に関しては新しいシステムを検討するといったことを続けていきます。今後世の中のデジタル化が止まることはないので、だからこそ少しでも早めに動くことが大切だと考えています。

 

まだ日中は暑いですが、それでも朝晩の空気に触れていると次の季節に移っているのを感じることが増えました。季節の変化に合わせて体調管理にも十分気をつけてください。

1973年生まれが生きてきた時代

1973年生まれの速水健朗さんが書いた本。タイトルを見ただけで1973年生まれとしてはスルーできなくなってしまいます。

『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』速水健朗

団塊ジュニア世代が生きてきた時代について書かれていて、読んでいて「そうそう、そんなことがあった!」と思うことばかりでした。その当時はただ体験してきただけでのことが実は商業的には必然であったことなどは、今だから分かることです。例えば「ピッカピカの一年生」でお馴染みの『小学一年生』は、団塊ジュニアが小学生になるのに合わせて作られた雑誌で、この世代を掴んでおくとある程度の顧客を6年間引っ張ることができると計算されてのこと。同じ年に生まれた人が200万人もいたわけだから、その世代を取り込むためにあらゆる商売が生まれたのは当然のことなんでしょう。その時代につくられた商売は同世代が100万人を切っている今では通用しないのも当然で、当時作られたサービスがこれからどうなっていくのかについても気になるところです。

本の中で紹介されていることで知らないことがいくつかあったものの、ほとんどは自分の記憶にもちゃんと残っていて、校門圧死事件、宮沢りえ、携帯電話やスマホの登場など、当時を思い出しながら読むことができました。1973年生まれだけでなく団塊ジュニア世代の人はタイトルに惹かれてつい買ってしまっても損はしないですよ。

2023年8月

【御社の事業計画には】

先日ある業者から新しい介護機器の提案を受けたのですが、その提案の中で「御社の事業計画にはICTの積極的な導入とあったので、この機器を活用してもらうとICT化はより進められると思います。」と担当者が話されたことが印象に残りました。確認したわけではありませんが、その担当者は事前に花の村のことをHPで調べ、事業計画を読んだ上でそう説明をされたんだと思います。

このような説明を聞くと、考えていることを理解した上でこちらに合ったものを勧めてくれていると感じられるため、かなり安心感があります。もちろんそのように思ってもらうための営業手法ではあるんでしょうが、だとしても事前に時間を使って下調べをしてくれているのはうれしいことです。

以前よりは少なくなってきましたが、「御社にとって有益な提案をさせてください」と電話をかけてきているのに花の村がどんな事業を行っているかを知らなかったりと、少し調べれば分かるであろうことを調べずに連絡してくるケースもあります。同じ提案を受けるとしたら、やはりこちらに関心を持ってちゃんと調べてくれている人の話を聞きたいと思いますよね。

 

【相手のことを知る】

花の村の事業で大切にしなければいけないことは、実はこれと同じだったりします。花の村の事業の基本は「ひとりを大切にする」。それを実践するためにまずすべきなのは、相手をよく知ることです。どんな人なのか、どんな状況にあるのか、どんなことを求めているのか、といったことを十分に把握した上でその人に合った計画が立てられ、その上で介護や保育が行われていきます。「ひとりを大切にする」ためにみなさんが行ってくれていることです。

相手のことを知ろうとして動いているとその思いは相手に伝わっていくはずですし、思いが伝わると介護や保育に対する安心感も増していくはずです。「ひとりを大切にする」ために相手に関心を持って深く理解し、安心して花の村の事業を利用してもらえるようにしましょう。

このことに関してもう1つだけ。例えば研修を受けたりする際に講師のことを事前に調べておいたり、見学先のことを調べてより多くの情報を掴んでおいたりすることもおすすめです。それをしておくことで研修や見学の学びの質は格段に高くなります。これから関わるであろう人や場について関心を持って調べておくことはプラスになることしかないので、少しだけでもいいので時間を作って調べるようにしてみてください。

 

【逆算思考で】

今年度も4ヶ月が過ぎました。1/3が過ぎたこのタイミングで、各事業所で計画した事業がどの程度進んでいるか一度確認してください。目標には掲げているけどまだできていないことがあれば、それを残り8ヶ月でやるためには9月にはコレを準備して、10月にはアレに取り組んで…と、逆算思考で具体的に計画を立て直すことが必要です。

逆算思考とは、ゴールと期限を定め、そこから実現するための手順を洗い出して実行していく考え方で、事業においては絶対に必要なことです。目標を立てたら締め切りから逆算して今何をすべきかを考えるようにしてください。残りの日数が少なくなるとできることも限られてしまうので、目標の点検や見直しは少しでも早いほうがいいです

 

【暦は立秋ですが】

8月8日は立秋でした。空の雲の様子や虫の鳴き声などから秋の気配を感じるようにはなりましたが、暑さはまだまだおさまりそうにありません。台風などの発生状況も気になります。先月も書いたことの繰り返しになりますが、災害にも体調にも十分に気を配りながら、少しでもいい状態で過ごせるようにみんなで声をかけ合っていきましょう。

2023年7月

【研修報告】

研修報告を紙ではなくスマートフォンやパソコンから直接提出してもらう形に変えたのが昨年の9月。新しい形に苦労している人もいるかもしれませんが、報告書は順調に届いています。以前とは違い、送信してもらったらすぐに読むことができていますし、誰かが◯◯について感想を書いてたはずだけど…といった時も検索してすぐに探すことができるようになりました。

研修報告で書いてもらっている主なことは、研修内容、見えてきた現場の課題、得られたことを現場でどう活かすかの3つで、その中でも特に注目して読んでいるのが「得られたことをどう活かすか」の部分です。「いい勉強になった!」と思うだけで業務に何も活かされないのでは研修の意味がありません。何かを掴み、それを次の行動に反映させるところまでがセットだと考えてください。

少し前ですが、グループホームやかたのNさんが新人研修の報告でこんなことを書いてくれています。

「介助する時は、今から何のために何をするのかしっかり説明し、納得されてから介助する」

こうやって書いてとるべき行動をイメージし、現場での行動に活かすようにしてください。あれもこれも取り入れようと欲張る必要はありません。たった1つのでもいいので、確実に行動につなげることが大切です。研修を受けるたびに少しずつ行動が変わり、少しずつ事業所が変化していくことを目指してください。

【デジタル化】

業務のデジタル化はなんとか進めたいと思いつつ、まだ十分な変化を作り出せていません。日々行っている業務がどんなプロセスによって成り立っているのかを整理し、デジタルツールに置き換えることが可能かどうかを検討し・・・と手順は見えているんですが、まだまだ手をつけられていないことが多く残っています。ただ、急激に人口が減っている地方こそデジタル化は必要なので、各事業所でできることから取り組んでもらいたいと思っています。

デジタル化を進めるポイントとして、入口をデジタルにすることが大切だと聞きました。例えば紙にメモをとるのをやめて最初からスマートフォンやパソコンでメモをとる。そうすると後で情報の整理や検索をすることが簡単になります。アンケートをとったりするときも紙で実施するのではなく、研修報告でも使っているGoogleフォームのようなもので実施してしまう。そうすると集計作業は自動でやってくれるので手間を省けます。こんな感じで最初に紙を使って後からデジタル化ではなく、入口からデジタルにしてしまうのが最も効率的です。

デジタル化を進めることで、作業にかかっている時間を短縮したり、忘れたり間違えたりすることを減らすことができます。そのことは、利用者さんや子どもたちに向き合う時間を増やして満足度を上げることにつなげられたり、コストを減らして経営状況を安定させたりすることにつなげられたりします。当然コストの削減も目指したいので、いきなり高額のシステムを導入するとかはできません。今あってすぐに使えるサービスをフル活用することを考える。フル活用してトコトン効率化することを目指す。まずはそこから始めましょう。高度なシステムを考えるのはその後で十分です。

デジタル化を進めましょうねとここまで書いてきて、これを紙で配布しているのは矛盾してるなあと気づきました。ですが、みなさんに伝えたいことをほぼ同じタイミングで少しでも確実に伝えようとすると、まだ紙を継続した方がいいと現段階では判断しました。現状を維持しつつ、給与支給日にネット上でも同じものを公開することにします。読みやすい方で読んでください。

【災害や暑さに気をつけましょう】

雨の降り方や暑さの程度などが、間違いなく10年前20年前とは違っています。既にいろんなところで言われていますが、災害に対する知識、熱中症に対する知識は毎年アップデートが必要です。災害にも体調にも十分に気を配りながら、少しでもいい状態で過ごせるようにしましょう。