園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

2020年10月

【研修報告書】
年度の初めはほぼゼロになっていた研修会がオンラインでの研修を中心に動き出し、現在は広い会場を使用したり人数制限をかけたりと、感染症対策をとった上で開催されるようになっています。例年よりは少ないですが、花の村の職員も研修会に参加する機会が増え、それに伴い研修報告書を読ませてもらうことも増えてきました。「花の村の職員の研修報告書は素晴らしい。学んだことをここまで丁寧に書いて提出している事業所はなかなかないんじゃないか。」と事務長はよく話されていて、その通りだと私も思っているんですが、研修内容をどう受け取り何を学んだか、それをどう活かしていきたいかといったことが細かく書かれていて、みなさんが丁寧に学んでいる様子が報告書から伝わってきます。複数の人が同じ研修を受けた場合は人それぞれに受け止め方が違っていることも伝わってきます。そんな研修報告書の一部を紹介させてもらい、考えたことを書いてみます。

【あらかじめ決めておく】
メンタルヘルス研修に参加したデイのHさん。研修で配られた資料も一緒に提出されていて、その最初のページに「命さえあればどうとでもなる」とメモ書きしてありました。人の心は本人にも気づかないうちにダメージを受けてしまうもので、そういうものであることを自覚して自分なりの対処方法を用意しておくことが大事だという話もあったようです。これはすごく大事なことで、「ブレーキを踏むタイミングをあらかじめ決めておく」ことをみなさんにもオススメしておきます。車は急に強くブレーキをかけてもすぐには止まらないし、急ブレーキを繰り返すことでボディーやタイヤを傷めてしまいます。それと同じように、人も急ブレーキをかけ続けていると体や心を痛めてしまいかねません。こういう状況になったらブレーキを踏み始めよう、この状況は自分にとっては負荷がかかるから気をつけようと、あらかじめ考えて準備しておくことが大事です。「命さえあればどうとでもなる」と力強くメモしていたHさんも、自分自身のブレーキの準備について考えたんじゃないかと勝手に想像しました。

【当たり前のことを再確認】
障がい児保育の研修に参加したあさりのSさん。「目の前の子から学ぶ姿勢を忘れないことの大切さを学んだ」とありました。そんなの当たり前のことじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、研修は当たり前のことを再確認する場でもあります。日々の仕事の中では、少し立ち止まって当たり前のことを確認する作業がなかなかできないものです。研修を上手く活用して大事なことを確認し、更にはそれを職場に持ち帰って共有する。それが研修のメリットの1つだと思っているので、研修会が多くない今は特に、再確認を丁寧に行うこと、報告書を読ませてもらって気づきを共有することを大切にしていきましょう。

【アイメッセージ】
子どもの行動特性についての研修に参加した渡津児童クラブのUさん。「何かを伝えるときは“アイメッセージ”で伝えることを学んだ。」とありました。アイメッセージとは自分を主語として気持ちを伝えることです。相手が主語となるユーメッセージ『(あなたは)なぜ大事な物をきちんと保管しないのか』よりも、アイメッセージ『大事な物がちゃんと保管されていると(私は)安心する』の方が相手は受け止めやすいそうです。確かにそうだと思いますが、継続するのはなかなか難しそうですよね。だからこそ研修で学んだことをすぐにみんなと共有し、「大切なことだよね」と確認し合ってより強く定着させることが必要になってきます。今回の研修は児童クラブの多くの職員が参加したものなので、子どもへの伝え方、アイメッセージをどう使っていくかについて、各クラブ内でたくさんの意見交換が行われただろうと想像しています。

【素直な振り返り】
同じ研修に参加した江津東児童クラブのTさん。「私自身子どもの関わり方が少し分からなくなっていたのですが、研修によってその理由や何をすればいいかが分かってきた。」とありました。子どもは行きつ戻りつしながら成長していく、右肩上がりで成長し続けることはないといいますが、これは大人も同じです。勉強を重ねて成長したと思っても状況が変わってその学びが通用しなくなったり、対処方法が分かったと思っていたけど気づけばまた同じことで悩んでいたり、順調にいかないことばかりです。だからこそ研修をきっかけに自分自身を振り返る、できていないことが見つかれば素直に反省して次の行動に活かしてみる、そんなことを繰り返していくしかありません。Tさんのような素直な振り返りを読ませてもらうと、私も見習わなければと思わせてもらえます。

【研修報告の活用】
同じ研修を受けても人によって受け止め方が違うように、同じ研修報告書を読んでも人によって感じることは違うはずです。ということは、報告書を読んで感じたことを書いてもらう「報告書の報告書」を出してもらうとおもしろい気づきがありそうですが、もちろんそんなことは求めません。ですが、各事業所内で「報告を受けて考えたこと」の共有は積極的に行ってみてください。いろんな受け止め方があるなあと感じるだけでも大きな学びになるはずです。研修が少なくなっている今だからこそ、研修での学びをより大きなものにしていく報告の活用も改めて考えてみてください。