園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

20/50『コンビニ人間』

50冊チャレンジの20冊目は『コンビニ人間』(村田沙耶香)。いつチェックしていた本かは分からないけど、読みたい本リストに入っていた芥川賞受賞作品だったので読んでみた。

本の内容についての情報は何もなく、タイトルからコンビニ好きの人の話くらいに考えていたんですが、それが全く違っていたことに気づかされ一気に読んでしまいました。コンビニを構成している店員さんやお客さんだけでなく商品やシステムや主人公を取り巻く人たちを通して、「こちら側」と「あちら側」、「普通」と「普通ではない」とされていることがそのまんま表現されていて、読んでいて不愉快になることもありました。これが書かれたのが2016年。そこから急速に人権問題が文字通り問題として取り上げられることが多くなり、強く意識するのが当然になったので、同じようなことは今は起こりにくいのではないかと思う一方で、それでもまだこうしたことは残り続けているのではないかとも思ったり。とにかく読んでいて心がザワザワしっぱなしでした。

話の内容とは関係ないですが、店員さんから見たかなり細かなコンビニの描写は興味深く、コンビニの見方が変わりそうです。店員さんが何を見て、何を聞いて、何を考えているのか、観察力に驚かされました。