園長のひとりごと

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【過疎×保育 その1】子ども同士の関わりを大切にする

過疎と保育について意見交換する機会があったので、過疎地だからこそ大切にしていることを改めて整理してみました。5回に分けてアップします。

 

子ども同士の関わりを大切にする

子どもが多い時代は、家庭や地域で子ども同士の関わりがありました。家庭では兄弟間でのお世話、地域ではいろんな年齢の子が混ざり合って同じ遊びに取り組むなど、子ども同士で工夫して問題解決をしたりコミュニケーションをとったりする機会が多くありました。

ですが、今は少子化になってその機会が自然に生まれることはなくなり、さらに過疎地においてはその傾向が顕著になってきています。

近年はコミュニケーション能力、問題解決能力、他者と関係を築いていく社会的スキル、感情のコントロールといった、いわゆる非認知能力の育ちが重要だといわれています。これらは大人から教え込まれて身につくものではなく、子ども同士が関わる体験の中で失敗を繰り返しながら学んでいくものです。

子ども同士の関わりの中にはトラブルがつきものです。そのトラブルを体験し、乗り越えていく過程に学びがあるわけですが、そこに大人が関わるとつい先回りしてやってあげてしまい、子どもは学ぶ機会を失ってしまいます。

大人の役割は、子どもだけでは解決できないときにはすぐに助けてあげられるようスタンバイしていること、「ちゃんと見ているよ」と子どもたちに伝え続けることです。そのことで安心してトラブルにも向き合っていけます。

そんな体験ができるのが保育園や認定こども園で、少子化の今はその役割は非常に大きくなってきています。

 

子ども同士の関わりは乳幼児期から

保育・幼児教育の効果に関する海外の調査によると、幼少期における脳の感受性は2歳前後が敏感期となっています。表にもある社会的スキルや感情のコントロールといった非認知能力も2歳前後が敏感期となっており、乳児期から子ども集団の中で生活することの重要性がよくわかります。

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昔は保育園にいる0歳児や1歳児を見て「小さいうちから保育園に預けられてかわいそう」と言う人もいました。親との関わりが最も大切で、保育園はその代わりをするところと考えられていた時代の名残です。

今は、もちろん親との関わりは大切ですが、保育園には家庭や地域になくなってしまった子ども集団の体験を保障する役割があります。しかも子どもが小さなうちから子ども同士で関わることに意味があるのが分かってきているので尚更です。

子どもが少なくなっている今は特に、子ども集団があることの意味は大きくなっています。

 

【過疎×保育 その2】トラブルは自分たちで解決する