4月8日(月) 理科教科書
ちょっと考えることがあって引っ張り出してきたのが『フィンランド理科教科書』。
この本の説明にはこう書いてある。
本書は、フィンランド国内で最大のシェアをもつSanoma Pro社(旧WSOY社)が出版する中学校の教科書「進化」および「人体」の二冊から、中心となる章を選び、日本語に翻訳して一冊にまとめたものです。
そして内容について(というかフィンランドの教育の考え方)はこんな説明が。
フィンランドの教育を語るうえで大切なことは、学習内容の高度さや潤沢さだけではありません。それらを、生徒が興味をもつようにいかに教えるか、考えさせるかといった学習指導の卓越性と多様性にあることも忘れてはなりません。
ここからは想像だけど、おそらく教科書中心の勉強ではないと思われる。ここに書かれていることをもとに、関心のある内容が見つかると実際に見たり体験したりするために課外活動も盛んに行われると聞いたこともある。国は違うが、オランダでは子ども番組を家族で見て子どもの関心を高める、自分で考える、議論することを大事にしているらしい。
『フィンランド理科教科書』の最後には次の文章も書かれていて、これがまた素晴らしい。
幸福な人生とは何か。その答えは、人それぞれだろう。人生に起伏を求める人もいれば、穏やかな人生を望む人もいる。完ぺきな人生というのはほとんどありえないが、困難や危機は、私たちが精神的に成長できる機会でもある。
どの人の一生も、その人自身のものである。私たちは生きているあいだに、自分ではどうしようもないことがらにたくさん出合う。人生は選択に満ちている。ときに、とても難しい選択もある。より正しい解決方法を見つけるには、選択の助けになるような多くの知識と、己の選択の影響を見通す力、想像力をもちあわせている必要がある。
健康的な生活習慣、何ごとにも積極的な姿勢、親密な人間関係、そして良い友人たちが、人生の苦痛に耐え、人生を意味のあるものにする最良の助けとなる。
自分を大事にしなさい。なぜなら、あなたは、あなた自身の人生にとって、かけがえのない主役なのだから!
内田樹氏は常々「教育の目的は次世代を担い得るような成熟した市民を育成すること」と話されているが、まさにそこを目指した実践が行われているように感じる。
こうした本を読んだ上で思うのは、小学校以降の教育をどうこう言うつもりは全くなく、この教科書に書かれているような教育を念頭に置き、そこを目指す上での乳幼児教育のあり方を考えていきたいということ。その方が断然豊かな活動になるし、何より子どもは楽しいはず。当然大人も。