園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

2020年5月

【情報の受け止め方】
コロナウイルスに関する情報の受け止め方について考えさせられる日々が続いています。ウイルスの専門家からの情報に加え、専門家ではない人からの情報もたくさん飛び交っているので、どの情報を選び取るかで悩んでしまいます。そんな中で気をつけているのは「分かった気にならないこと」です。専門家でない私たちは、ウイルスのことについて分からないのは当たり前のことです。だからこそ分かったつもりになって考えることを止めるのではなく、全ての情報に対して「本当にそうかな?」という態度をとり続けることが大切だと思っています。これは批判的思考と呼ぶそうです。批判といっても粗探しではありません。論理的に深く考えるための思考方法です。

【批判的思考】
反対に、物事に「良い」「悪い」と白黒つける白黒思考と呼ばれる思考方法もあります。コロナウイルスでも「危険です!」とか「安全です!」と言い切ってもらった方が、それが絶対に正しくないとしてもちょっと安心しますよね。どっちなのか分からないと言われたときのような不安はありません。でも物事はそんな単純ではありません。コロナウイルス対策に限らず、世の中は「答えのないもの」で溢れています。こちら側から見ると白だけど、反対から見れば黒とも言える、そんなことばかりです。だからこそ白黒思考で簡単に結論を出してしまわず、様々な情報に対しても「そうかもね、でも違うかもね」と批判的思考で向き合うことが、今は特に求められていると思っています。ちなみに日本(もちろん世界も)が目指している教育のあり方、子どもたちにつけてもらいたいと思っている力が、この批判的思考、「本当にそうかな?」と問い続ける力です。「分からない」不安に対して平気でいられる力と言ってもいいかもしれません。この批判的思考に触れる機会を、こども園や児童クラブでは多く設ける必要があると思っています。

【新人研修】
4月16日と17日の2日間、花の村の新人研修を行いました。今年度の新人職員は4名(こども園に2名、児童クラブに2名)ですが、新人研修を数年間実施していなかったことから過去の新人職員(変な表現ですが)も対象としたため人数が多くなり、2日に分けての実施となりました。そこでは花の村の職員に大事にしてほしい考え方として、こんなことも話しました。

「成功か、失敗か」ではなく「成功か、学びか」と考えてほしい

何度も言ってきたことですが、花の村では失敗は大歓迎です。失敗は学びであると考えているからです。失敗を恐れて行動を止めてしまうと進歩はありません。周りの人に相談しながら新しいことにチャレンジし、たくさん失敗してください。そしてその失敗から学んだことを次の行動に活かしてください。失敗を学びにするためには振り返りが大事です。いい振り返りのポイントは客観的に見ること、特に他の人と一緒に振り返ることは有効です。起こったことをひやりハットに記入し、その経験を事業所のみんなで振り返ってください。最近ひやりハットがよく出てくるようになっています。とてもいい傾向です。学びを深めてくれていると理解しています。

【4つの言葉】
朝礼で少し紹介したことですが、漫画家や小説家を支援しているコルクという会社の代表である佐渡島庸平氏が「成長する人が使わない4つの言葉」をyoutubeで公開していました。①がんばる、②迷惑をかけてはダメ、③苦手、④仕事だからやる、の4つです。私自身も無意識で使ってしまう言葉があり、自分自身を考え方を問い直す必要があると感じています。ここでは①と②について勝手にまとめたものを紹介します。③④も気になる方は佐渡島さんのyoutubeを観てください。私に質問してもらってもいいです。ぜひみなさんも自身の言葉を点検してみてください。

①がんばる
がんばるとは具体的にどういう状況を指すのかがわかりにくいです。次に何をすべきかが具体的にイメージできていないときに使ってしまいがちなのが「がんばる」です。どんな小さな事でもいいから、何をするか決めて行動していくことが大事です。その行動が次の新しい行動を生み出してくれます。

②迷惑をかけてはダメ
誰にも迷惑をかけずにスマートに結果を出すのがいいと思われているが、それはちょっと違っています。社会は迷惑のかけ合いっこで成り立っています。子どもが自立していく過程では、何でも自分でやりたい時期、イヤイヤ期(2歳前後)があります。大人が迷惑をかけないようにしようとするのは「大人のイヤイヤ期」と言えるかもしれません。大人になるというのは、堂々と迷惑をかけてしっかりと感謝することです。他の人が迷惑をかけてきたときは堂々と受け入れて、見返りを求めないということです。そうやって迷惑をかけ合うことで新しい縁も生まれてきます。