園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

2020年11月

ボードゲーム
来月のことですが、放課後児童クラブでボードゲームを使った職員研修が予定されています。浜田市にあるボードゲーム屋の店長さんを講師としてお招きし、ボードゲームでの遊びを通して子どもたちがどんな力をつけるのか、いろんな経験をするためにどんなゲームを用意すればいいのかを考える研修です。ボードゲームとはボードの上で駒を使ってプレイするゲームのことで、昔から楽しまれている双六や将棋などもボードゲームの仲間です。今回用意されるのはボードゲーム大国ドイツのものが中心になると聞いていて、デザインの良さやゲーム自体の完成度の高さに触れるだけでも得られるものは多いと思っています。

【自己をコントロールする】
こども園でもゲームゾーンにある様々なボードゲームを使って子どもたちが遊んでいます。ボードゲームは2人以上で遊ぶのが前提となっているため、自分以外の誰かの番が終わるまで待って交代でコマを進める必要があったり、誰もが勝ちたいけど思い通りにならないことが多発したりするのが特徴です。そのゲームで遊ぶことを通して、自分の感情をコントロールすること、ルールを守ることでゲームがより楽しくなる体験をしてもらうことがねらいです。これからの社会では他者と協力する力がますます重要になってくると言われています。協力をするためには自己をコントロールする力が欠かせません。思い通りにいったりいかなかったりを繰り返す中で自己をコントロールできるようになってもらいたい、自己をコントロールできるともっと自由に楽しむことができることに気づいてもらいたい、そんな思いで保育者のみなさんがいろんな種類のゲームを選んでくれています。児童クラブでも研修後にボードゲームを増やしていく予定と聞いているので、学びの機会が更に増えていくだろうと楽しみにしています。

【負ける体験】
ゲームには他にも大事な要素があります。それは「負ける体験」ができることです。ほとんどのゲームには勝敗がつきもので、その時のメンバーや運によってみんなが勝つ体験、負ける体験をできるのがおもしろいところです。負けると当然悔しいわけですが、負ける体験でしか得られないものもあります。例えば「負けっぷり」を学べることです。負けっぷりのいい人、潔く負けを認める人のことを表す「グッドルーザー(good loser)」という言葉があり、スポーツのメリットはグッドルーザー、つまり「良き敗者」の経験ができるところだと言う人もいるくらい、グッドルーザーであることは大切なことのようです。試合に負けたときは負けた立場から勝者がどのように見えるか、勝った側からは敗者がどのように見えるか、そんなことを経験しながらグッドルーザーとはどういうものかを学んいけるのが、スポーツやゲームのいいところです。

【グッドルーザー】
私は「グッドルーザー」=「困難な場面に直面した時、自分なりの次の一歩の踏み出し方を考え出せる人」だと思っています。自分の思い通りにいかなかった時、予想に反して失敗してしまった時でも、自分をコントロールしてうまく気持ちを切り換え、次の挑戦に向かっていくことができる、そんな力を持っている人だと思っています。そしてこれは、花の村のみなさんにも大切にしてもらいたい考え方とよく似ています。失敗の中にも学びはあります、失敗を恐れず新しいことに挑戦してください、そんな姿勢を大切にしてほしいとお願いしています。花の村のHPに採用のページがあり、求めている人物として「トライ&エラーからの学びを楽しめる人」と書いています。挑戦→失敗→また挑戦と繰り返しながら事業を進めていく組織でありたいという思いで、これはまさにグッドルーザーの考え方と同じです。負けを素直に受け止め、そこでの学びを次の挑戦につなげていく。花の村のみなさんにはそんな「グッドルーザー」であってもらいたいと思っています。

【負けっぷり】
永遠に勝ち続けられる方法があるなら、もちろんその方法に飛びつきたいです。でも実際には勝ったり負けたりすることだらけです。大事なのは負けた時の「負けっぷり」です。どうしても勝つことだけにスポットが当たりがちですが、私たちは負けた時の「負けっぷり」にもちゃんと注目する組織を目指しましょう。常勝チームであるGの優勝はもちろん素晴らしいですが、準地元チームであるCは結果が出なくても諦めることなく来シーズンの優勝を目指し、今すべきことに淡々と取り組んでいます。負けを真正面から受け止める素晴らしい強さを持ったCの姿勢からも学ぶことはたくさんあります。

【大統領選挙から】
アメリカの大統領選挙がとりあえず決着したようです。アメリカの選挙はあえてショー的な見せ方で盛り上げている面もあるんでしょうが、今回は特殊な要件が複数絡んだ選挙だったこともあって独特の盛り上がりがありました。選挙が終わって1週間以上経ってもまだ正式な決着に至っていないのは、郵便投票が採用され時間がかかっている制度上のこともありますが、あの方の「負けの受け止め方」「負けっぷり」も影響しているはずです。今回の選挙についてはいろいろな受け止め方があるでしょうし、事情を知らずに勝手なことを言うべきではないんでしょうが、私自身は大統領選挙を通して「負けっぷりのいい人を目指したい」と再確認する機会にもなりました。みなさんは今回の選挙でどんなことを感じたでしょうか。