園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

2021年10月

【友人の友人の友人】
ネットワーク科学の先駆者ニコラス・クリスタキス氏による「幸せの伝播」の研究があります。誰かが幸せを感じていると、1.6km圏内の身近な友人では15%、友人の友人では10%、友人の友人の友人では6%に幸せが伝わることが実証されたという内容です。つまり、一人の幸せが面識のない人にも影響を及ぼすということです。

1.6km圏内はどのくらいの範囲かを調べてみたところ、合歓の郷を中心にすると都治町と後地町、あさりこども園は浅利町、渡津放課後児童クラブは渡津町と江津町、高角放課後児童クラブは嘉久志町と和木町が圏内となります。私たちの事業を通じて利用者、子ども、家族の方に満足や幸福を感じてもらうと、それが近隣の町内の友人から友人へと伝わっていくわけです。

【幸福感の広がり】
「ひとり」を大切にする介護・保育・育成によって、一人ひとりに満足してもらう、幸せを感じてもらうことが花の村の目指すところですが、それが実現すると、その人だけでなく地域全体に幸福感が伝わっていくことになります。幸福感が広がっていくことは地域の活性化に影響しないはずがありません。

「私たちの事業は、仕事(利用者の満足を実現すること)を通じて地域(生活、家庭)を創造し活性化する事業です。」

花の村の事業理念を形にするための第一歩は「幸せの伝播」だと解釈してください

【ごちゃまぜの関係づくり】
前回少し触れたブランディング会議で、花の村の強みが3つに整理されました。その内容は次の通りです。

①世代を超えた交流による化学反応がある
②自然を感じながら活動・生活ができる
③非日常の体験ができる

この中の「①世代を超えた交流による化学反応がある」について説明します。

0歳から100歳まで様々な世代の人がいるのが花の村で、世代に関係なく交流できるのが強みです。高齢者と関わった子どもの声かけが変わる、子どもと関わった高齢者の行動が変わるといった変化のシーンはこれまでに何度も見てきているはずです。世代が違うと共通点が少なくなるため、世代が近い人と関わるとき以上に共感力が必要になります。共感力がしっかり発揮されると、その関わりから受ける刺激は多くなると想像できます。

世代を超え、いつも属しているコミュニティーも超えた「ごちゃまぜ」の関係の中では、日常の介護・保育・育成では得られない経験ができます。これは花の村の大きな強みです。今できるかどうかはおいといて、花の村の強みとして交流活動やごちゃまぜの関係づくりはまだまだ深めていく余地があります。

【少しでもごきげんに】
ごちゃまぜになって関係が複雑になるのはつながりの網目がより密になることでもあります。そうなると幸せの伝播はより強くなります。花の村のネットワークを活用して地域の孤立した人を減らすことができれば、より広く幸せを伝えることができるようになります。花の村の強みを生かせば地域の幸福感は増えていくはずです。

地域の活性化はイコール都市化ではありません。少しでも幸せに、少しでもごきげんに日々の生活を送る人が増えることが、活性化の大きな要素だと考えています。私たちの日々の仕事は、地域生活の土台づくりにつながっています。その意識をもって目の前の利用者、子ども、家族に向き合っていきましょう。

【シンチャオ!】
先日、自転車で移動していると前から来た車が停まり「シンチャオ!シンチャオ! どこ行くの?」と運転していたおじさんに話しかけられました。意味が分からずキョトンとしていると「ベトナムの人じゃないんだね、ごめんごめん」と去っていきました。Xin chào(シンチャオ)はベトナム語で「こんにちは」の意味で、どうやらベトナム人と間違えられたようです。このおじさんはベトナム人を見かけると日頃からこうやって声をかけているでしょう。

コミュニティー内の関係を円滑にしネットワークを広げていくためには、相手に関心をもち行動することが必要です。あいさつ、声かけは行動の第一歩でもあると思います。花の村に関わってくれる人に対して、あなたに関心がありますよと伝える入口があいさつだと考え、私たちもあいさつ、声かけをしてネットワークを広げていきましょう。