園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

49/50『地域再生の失敗学』

50冊チャレンジの49冊目は『地域再生の失敗学』(飯田泰之、木下斉、川崎一泰、入山章栄、林直樹、熊谷俊人)。人口が減少している中、地域再生のためにはどのような考えで何をしなければいけないかをいろんな本を読んで勉強しているわけですが、どの本にも共通して書かれていることはかなり掴めてきたように思います。紹介されている失敗例も共通点が多いので分かりやすいです。

この本だけでなく他の本にも必ずといっていいほど出てくる失敗例が、補助金をもらって事業を始めるケース。民間から資金を調達するときと違い、事業自体の採算性は無視して補助金ありきで計画を立ててしまうため、創意工夫もないしすぐに行き詰まってしまいます。それがわかっているのにあちこちで行われてしまうのは、スタート時に考えなければいけないことを思い切り省くことができるからなんでしょう。苦労せずそれっぽい形で事業が始められるのはみんなにとって魅力的なんだと思います。この代表的な失敗例だけでもちゃんと頭に入れておいて、事業を考えた方がいいですね。

また、こんなことも書かれていて参考になりました。

イノベーションが起こる条件としてフェイス・トゥ・フェイスでのやり取り、つまりインタラクションが大事だということは、経営学でもさまざまな実験によって実証されつつあります。とくに組織学習研究で重要視されている「トランザクティブ・メモリー」という概念が、顔を合わせることの重要性を裏づけています。これは、組織にとってメンバーが一緒に何かを学習することよりも、バラバラに学習したことを持ち寄りお互いに「誰が何を知っているか」を知っている状態のほうが、組織の持っている知識の総量が大きくなるという考え方です。

顔を合わせて情報交換することは当然のこととして、情報交換が効果を発揮するのは得意な分野の違う人たちが集まっていることも大事だという点です。意見が違う人は自分とは違うソースを持っている人と考えることができます。意見の違う人がいるおかげで視点が広がり、知識も増え、その後の行動を考えるときの精度が上がります。地域のことに限らず、あらゆる団体、組織において大切なことだと思います。

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