園長のひとりごと

こども園、福祉全般、寺院関係、走ること、食べること、いろいろと。

【小さなヒント002】うちの子は偏食!食べたがらない!どう対応したらいいの?

(2015/04/30に書いたもの)

今回の質問は「偏食や食べない子に対してどう対応したらいいか」です。食は身体をつくる大切な営みで、だからこそ悩んでいる人も多いんでしょうね。この悩みに対して「こうすれば全て解決します!」といった明快な答えなんてありません。もしあるのなら、このことで悩んでいる人なんていないはずです。ということで、楽な気持ちで読んでもらえればと思います。

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偏食や食べないことについて考えるために、まず子どもの食の特徴に触れてみたいと思います。子どもは本来食に対してとても積極的です。赤ちゃんの時はお腹がすくとそれを泣いて訴えてきますし、離乳食を食べ始めた子が思わず手づかみで食べたりするのも食に対する意欲の表れです。そして自分がどれだけ食べる必要があるか、その量も知っています。最も特徴的なのが母乳です。母乳を与える際、今回は100ml与えようとか考えて飲ませている人はいませんよね。どれだけの量を飲んだかなんて、母乳の場合はわかりません。赤ちゃんはお腹がいっぱいになったら飲むのを止めます。その量がその子にとっての適量なんです。たくさん飲む子、あまり飲まない子の体重の増加を調べた研究があり、その結果どちらの子の体重の増加もほとんど変わらなかったようです。摂取したものからどれだけの栄養を身体の成長に使うかは、子どもによって違っていることがわかります。たくさん飲むから安心、少ししか食べないから心配、と考えるのではなく、身長や体重の成長と合わせて見ることも必要なんですね。

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そして、子どもは何を食べるべきかも知っています。子どもは様々な活動を通して身体を成長させていくために、穀物、じゃがいも、トウモロコシといった炭水化物からカロリーをとることを優先させています。その反対にカロリーの少ない緑色の強い野菜、例えばピーマンとか積極的には食べない傾向があります。もちろん個人差はありますが、概ねこのような傾向です。大人はいろんな色の野菜や様々な食材を使った見た目の楽しさとかも求めますが、これはあくまでも大人の特徴です。子どもの食は身体を成長させることが優先です。わさびや生姜などの薬味が変化を楽しむのも大人だけで、子どもは食べませんよね。いろんな種類の野菜を食べないのは決して好き嫌いではなく、単にそのときの優先度が低いだけです。子どもの頃は嫌いでしかたなかった野菜がだんだんと食べられるようになったという経験は、誰にでもあるんじゃないでしょうか。

子どもは食に対して積極的、食べる量も知っている、何を食べるべきかも知っていると書いてきました。では全て子どもに任せておけばいいかというと、決してそうではありません。今は食べないけれど、それを食べる大人の姿を見せてあげることも大切です。大人が美味しそうに食べている姿はちゃんと記憶に残りますし、食べているのを見て「ちょっと食べてみようかな」と思うのも子どもの特徴です。また、家では食べないけど友だち同士で食べる時には何故かいろんなものをよく食べる、ということもあります。周りの人からの刺激も食には必要です。

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食は単に身体の栄養を摂るだけのものではありません。もしそうであればサプリメントだけでもいいということになってしまいます。でもそんなものではないですよね。食は誰とどんな環境で食べるかも大事な要素です。それらを全部含めて考えなければいけないと思っています。そしてぜひ長いスパンで考えてほしいことでもあります。「今」ばかりが気になって無理に食べさせるようとすれば、そのことによって結果的に大人になっても嫌いなものを作ってしまうことになりかねません。昔無理やり食べさせられていた経験から、今でも野菜が嫌いとか牛乳が嫌いと話す人は、私の周りにも結構たくさんいます。

そして「食べることの楽しさ」を伝えてあげてほしいと思います。そのためにも、例えばあまり食べない子にたくさん食べることを勧めるのではなく、ほんの少しの量から始めて「食べ切った」経験を重ねさせてあげるとか。全部食べ切った!という経験は、次の食への意欲につながります。「食べたい!」という意欲をじっくり時間をかけて育てていけば、食の悩みよりも食の楽しさの方が増えていくんじゃないでしょうか。

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「木を見て森を見ず(can't see the wood for the trees)」これは「物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うこと。」という意味です。親であれば子どもの今が気になるのも当然のこと、細かなことが気になるのも当然のことです。でも子育てにおいては「子どもの人生全体を考える」広い視野を持つ時間も必要だと思います。難しいことかもしれませんが、いろんな人の力を借りたりしながら“豊かな森”作りを目指したいですね。

【小さなヒント001】子どもが魔の二歳児「terrible two」に突入。どう接すればいいの?

(2015/04/16に書いたもの)

今回は「魔の2歳児と言われる時期にどう子どもに接すればいいの?」という質問をいただきました。アメリカでは「terrible two」と表現されることからも分かるように、どうやらこの2歳児の大変さは多くの国で共通の悩みのようです。2、3歳の頃は自己主張が強くなり「自分でする!」「これは自分のもの!」が盛んになる時期で、対応に苦労した経験のある方は多いんじゃないでしょうか。こんな子どもに向き合うとき、制止すればいいのか、それとも全て受け入れたらいいのか、迷ってしまいますよね。

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この姿は決しておかしなことではなく、ごくごく自然な子どもの成長です。0歳、1歳の頃に自分の気持ちややりたいことを十分に受容された経験があるからこそ、その後に「自分で!」という意思が生まれてくるわけです。意思が生まれ表明できることはとても大事で、意思がはっきりと現れてきた(たとえそれが極端であっても)ことを「おお、立派に成長してきたなあ」と喜ぶくらいの受け止め方が、まずは大事だと思います。悩むだけでなく、順調に子育てが進んでいると自分を褒めてあげてほしいくらいです。

そして対応として、制止するか、それとも全て受け入れるのかですが、ぜひ我慢することを伝えてほしいところです。我慢といっても何もさせない「おあずけ」のような形ではなく、友達との遊びを楽しく続けるためとか、親や友達を悲しませないためとか、集団の中の自分を意識した我慢を少しずつ覚えていけるように働きかけてもらいたいです。

子どもにとって集団はとても大事で、私たちの保育園でも特に丁寧に考えているところです。子どもには親の存在が重要なのは間違いありませんが、同時に多くの刺激を受けることのできる子ども集団の存在も重要です。自分と同じような発達段階の子どもとの関わりだけでなく、少し上であったり下であったりと、多様な関係性の中で様々な刺激を受けながら力をつけ、成長していくのが子どもです。2歳児の自己主張の強さを、子ども集団からの刺激や学びを強く求めているメッセージと捉えてみてもいいかもしれません。

2歳児の行動を親だけで受け止めるのは大変ですよね。無理をして親だけで抱え込むと、つい大人の価値観を強く押し付けてしまった、なんてことにもなりかねません。そのことでわがままを言わなくなったとしても、それは発達のねじれです。必ず後から違う形で現れてきます。私たちが考えるべきことは、今の姿を整えることではなく、子どもが社会に出たときの姿であるはずです。大人にとって都合のいい子に…という考えになっていないか点検することも、時々は必要なんでしょうね。

LALAMAMAをきっかけにして多くの親が情報を共有し、さらにはつながりを築くことができれば、それは子育てをしていく上でとても心強い存在になるはずです。親の安心感はちゃんと子どもに伝わります。そして子どもの成長につながっていきます。そんな風に考えると、子育ては確かに大変だけど、なんだかワクワクしてきませんか?

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充電ケーブルの管理方法

毎日使っていて便利だと感じているものの1つがこれ。

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 anker マグネットケーブルホルダー

 

ケーブルを適当に置いても割とピタッと定位置に収まってくれるから助かります。子どもが大きくなってくるにつれて充電ケーブルの必要なモノがむちゃくちゃ増えてきてるので、こういう製品はホントに助かる。

とはいっても、増えすぎてるケーブルはまだ管理し切れていないのが現状。みんなどうやってケーブルを管理・整理してるんだろう?

年齢や性別を多様に

東京五輪パラリンピック組織委員会の某会長の発言が世界中で問題になっていますが、発言に関しては大坂なおみさんがコメントされている内容が一番しっくりきました。

digital.asahi.com

さて
2016年に理事長を交代したときから考えていることがあります。それは法人の理事、評議員の年齢、性別を多様にすることです。当時は職員の約75%が女性であるのに対し、理事・評議員の女性の割合はそれぞれ22%、10%とかなり低いのが状態でした。事業に対して多様な視点から多様な意見を出してもらいたかったですし、労働環境を考えるときも多数派である女性の立場からの意見もあった方がいいというのが理由でもあります。

とはいっても一気に男女比を変えていくのではなく、様々な理由で交代の必要が出てきた時にバランスをとっていく方法がいいと思っていて、少しずつ進めてきた結果、現在は理事が22%→33%、評議員が10%→20%となっています。理想の状態にはまだ遠いですが、この方向で確実に進めていきます。そして、このようなメンバー構成は当たり前のことだと認識されるように、法人内での周知も引き続き進めていきます。

そういえば2016年に研修を行って以来、具体的な取り組みがストップしていることに気づきました。次を計画しなければ。

meg-ai.hatenablog.com

みんなで3days その④

そして軌道に乗ってきたことで今度は法人全体でその休暇を実施し、有給休暇ではなく特別休暇に切り換えました。有給休暇取得率を上げるためにスタートしたのに特別休暇にする取得率が下がってしまう矛盾が出てきますが、現段階では休暇のとりやすさをみんなに感じてもらうことを優先する、有給休暇取得率向上は長期的な取り組みにする、有給休暇取得率が低くても他の休みがそれを大きく上回ればいい(問題はあるだろうけど)と考えることにしました。

 

この休みを続けてきたことについて職員は今どう考えているか聞いてみたところ、この制度が当たり前になったので特に何も…とか、休みはまあまあとりやすくなったかもとか、好評なのかどうか分からない反応でしたが、実際に休みは増えてきているのでそれだけで十分です。他にはこんな話が聞けました。子育て中の職員いわく「長い休みがあると、家族と過ごす以外に自分だけの時間も作れているので嬉しい」とのこと。子どもと過ごすことも大事にしながら、でも子どもから離れて自分だけの時間を大事にする、このバランスがとれていないと休みが充実し仕事も充実する、そのサイクルにはなりにくいのかもしれません。

次は月〜金までの5日間の休み(前後の土日と合わせると最長9日間)を全員がとることを計画しています。本当はそれを2回とってもらうことを提案したんですが、管理者からまずは1回からとお願いされました。最終的にはこちらが取り方の提案をせず自分のとりたい休みを自由にとってくれるようにすることが目的なので、まだまだ道半ばではあります。次の仕組みを考えなければいけません。

 

というのが私たちの園(法人)で行ってきた(いる)休暇の取り組みです。それに伴う業務の改善には全く触れていませんが、そちらもいろいろやってきました。それはまた別にまとめたいと思います。

 

《終わり》

みんなで3days その③

「みんなで3days」をやってみようと考えたのは、次の記事を読んだことがきっかけでした。

www.itmedia.co.jp

できるかどうかわからないけど実現したら楽しいだろうなと考えたことから、じゃあ少しずつでも進めていくために動き出したわけです。

 

最初に取り組んだのは、休んでもらうことが可能な週を決めること。保育園には行事や活動が予定されているため、休みをとってもらいやすい週とそうではない週があります。なのでいつでもどうぞ!と言ってるだけでは全員がとるのは難しいです。4月はこの週とこの週、5月は…といった感じで、3日間の休みをとってもらう週を決めました(職員数よりも多い週になるように)。次にその週を職員に提示し、この中で休みをとりたいところを選んでもらうことに。お願いしたのは次の2つです。

・選べるのは1つの週につき1人だけ。希望がかぶった場合は話し合って調整を。
・夏休みや冬休みの期間の週は、小中学生の子どもがいる人が優先的に選択できるように。

こうやって休む週をみんなで決めてもらい、「みんなで3days」がスタートしました。

 

保育の仕事はおもしろいもので、個人の興味関心を保育の中に活かすことができます。モノを作ることが好きな人であれば、作った作品や実際の製作の様子を見せることで子どもたちの製作意欲につなげることができます。旅行が好きな人が訪れた先の風景や文化を紹介することで、多文化への興味関心を広げることにもつながります。そんな感じで保育者一人ひとりの趣味を保育に持ち込むことは、保育の幅を広げてくれます。であれば「みんなで3days」を使って自分の好きなことに取り組んでもらい、それを保育に取り入れてもらえれば、子どもたちの成長にもつながるし、園としてもうれしいということになります。休みを十分にとることで心身のリフレッシュができ、それが次の仕事の意欲につながることは当然ありますが、保育の内容にも反映されるから積極的に休みをとってほしいことをみんなに話しました。休みをとるのは保育をさらにおもしろいものにするために必要なことと考えてもらいたかったし、実際に休みで体験したことを子どもたちに紹介してくれたり、そこから新たな活動が生まれたりといった嬉しい効果がたくさんありました。

 

そうやって「みんなで3days」を続けながら、出てきた課題はその都度改善していきました。

・冬は感染症が流行して職員が休むことが増える傾向があるため、3daysはできるだけ冬までにとれるようにする
・小中学生の子どもがいる人でも夏休み等とは違うところで休みたい人もいるので、あくまでも優先するという形を再確認する
・祝日の月曜日をくっつけて水〜月の6日間の休みをとることができるが、希望者がまんべんなくとることができるよう毎年調整する

といった感じだったと思います。

 

《その④へ続く》

みんなで3days その②

そして③と④。1つの仕事に1人しか関わっていない、あることに関する情報を1人しか持っていないといった状態だと、誰かが休むたびに困ることが発生します。今日中に仕上げてしまわないといけないことがあるけど、担当者が休んでいるため全く進められないとか、もったいなさすぎます。複数で仕事を進めていくことや情報をすぐに共有する仕組みを作るとか、そんなことも同時にやっていく必要があります。じゃあそれを進めればいいだけなので問題なしと判断しました。

最後に⑤。これについては過去の有給休暇取得率を調べたところ、全員がかなりの日数を繰り越していました。3日間消化したとしても対応はできそうだし、緊急の場合は特別休暇で対応も可能なので、これも大丈夫だろうと判断しました。

 

有給休暇取得率を上げるためには

・休みがとりやすい体制を作る
・休みをとることへの抵抗をなくす
・まとまった休みをとってもらうように働きかける

の3つを同時に進めなければ難しいと考えています。単に取得を促すだけでなく、休みやすくなる仕組みを作り、段階的に進めていくことが絶対に必要です。たかが3日かもしれないけど、これをクリアできれば次は5日、10日と増やしていけるだろうし、3日の取得くらいで悩んでいるようでは有給休暇の100%取得なんて不可能です。だからこの取り組みの意図を理解してくださいねと頻繁に話していたように思います。

 

ちなみに全員で休みをとることが目的だったので、この休みの名称は「みんなで3days」としました。3日といっても土日とくっつけるため、水〜日もしくは土〜水の5日間の休みになります。

 

《その③へ続く》